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第30回 zen café 坐禅会(オンライン配信)



               2020年4月26日 オンライン配信 定例坐禅会

                      担当:zen café茶頭 Tokushin


 みなさんこんにちは!Tokushin和尚です。コロナウイルスに振り回され、なかなかに大変な時期でございますが、皆さまご自愛されていらっしゃいますか?ひとりひとりの心がけが大きな成果を生むとのことです。お互いに頑張っていきましょう!


 さて、去る4月21日、Instagramライブにて開催致しました、第1回オンライン茶話会にご参加下さいました皆様ありがとうございました!大勢の方にご参加頂き、ありがたいことに暖かいお言葉もたくさん頂きましたが、ちょっと後半にグダグダ感と間延び感が、、、(泣)次回開催時には今回気づいた点を改善してお届けできればと思っております。坊主ふたりの茶飲み話に御付き合い下さいました皆様ありがとうございました!!


 というわけで、そろそろ第30回 zen café 喫茶夜咄を始めたいと思います。今回の担当は私、Tokushin和尚でございます。実は先日の第1回オンライン茶話会に向けて皆様から質問を募集させて頂いたのですが、その中のひとつにこのようなご質問がありました。


「ウイルス 対 人」なはずなのに、感染した人を非難するような風潮とか、私が小売業で働いているせいか、お客さんからいろんなイライラをぶつけられる感じとか、「人 対 人」の様相がツラいです。【中略】こんな非常事態をどんな心持ちで乗り切っていけばいいでしょうか…


 おっしゃる通りですよね。今回の難局はあくまで「ウイルス 対 人」のはず。しかし、現実には「人 対 人」でイライラピリピリしてしまう状況が生まれてしまっているわけで。確かにこのご質問者の方が感じていらっしゃることと、似たようなお気持ちをお持ちの方は大勢いらっしゃるのかもしれない。そう思いまして、こうしたお悩みを念頭に置きながら、本日の夜咄をお届けしようと思います。






第30回 zen café 喫茶夜咄 「ステイホーム☆」



1、山崎まさよし的「ステイホーム☆」


目一杯 溢れそうな気持ちを使い果たしたら

精一杯 強がっても 一人ぼっちに挫けたら

お家へ帰ろう シチューを作ろう

窓から漏れてく白い湯気が

星屑の隙間を埋めてく

~山崎まさよし【お家へ帰ろう】より~


 山崎まさよしさんの「お家へ帰ろう」という曲の一節です。当時、CMソングにも起用された歌ですので、耳にされたことのある方も多いのではないかと思います。目一杯、精一杯頑張ったあとで、また何か辛いこととかあったあとで、お家であったかいものを食べる幸せ。それはいつものふつうのことのようでいて、それは帰るお家があるからこその幸せ。それは食べるごはんがあるからこその幸せ。それは日常に当たり前すぎて見過ごしてしまってた幸せ。たちのぼる白い湯気は星屑の隙間を埋めながら、一緒に私たちのこころの隙間も埋めてくれている気がします。




2、なすび的「ステイホーム☆」


 要するに、懸賞生活を御覧になっていた皆様に告ぐ!幾ら何でも一年三ヶ月とは言いません、願わくは一ヶ月、でも流石に一般的に一ヶ月も無理としても、一週間や十日位、試しに家に閉じ籠ってみませんか?私が出来たんだから、貴方にだって出来ます!!


 それが、こうして今になって見直されるというのか、こんな形で脚光を浴びる時が来るとは、全裸でひもじさに苛まれて、孤独と闘っていた当時は想像も出来ませんでした。懸賞生活の約一年三ヶ月で一番辛かったのは、服を着られない事や空腹感、そして外に出られない事では無く、何よりも孤独感でした。


 今は服が着られていて、身に纏う物が座布団一枚だった時と比べれば何の不自由を感じると言うのでしょう!紙パックや空き缶で米を炊く必要が無いなんて何と恵まれているのでしょう!発想の転換です。外に出られないとストレスを感じるより、何時だって外に出られるんだという心の余裕を持ちましょう!!


 毎日、葉書を何百枚も書かなくても食べ物の心配せずに生活を営なめているだけで、心穏やかに安らぎを感じ、家に閉じ籠っていられます。因みに懸賞生活の時の当選品、何一つ手元に残っていないのですが、当時の相棒と思しきアシカの縫いぐるみを引っ張り出して来ました!名前覚えていますか?

~なすび Twitterより~


 約20年前のTV番組「進ぬ!電波少年」の中の人気企画、ハガキを送って当選した懸賞品だけで生活をする「懸賞生活」で、個室でひとり、1年3か月を過ごし、一世を風靡したタレントのなすびさんのツイートです。今の我々の「ステイホーム」生活とは桁が違う過酷な条件のもと、1年3カ月という長期間の「ステイホーム」生活をされたなすびさんの言葉には重みがありますよね。ちなみに、アシカの縫いぐるみは「びーなす」ちゃんだそうです(笑)「なすび」のアナグラムであると同時に「女神様」です。なすびさんの「懸賞生活」を見守る女神様を経て、今度は現在の我々のステイホーム生活の見守りをお願いしたいです☆




3、禅的「ステイホーム☆」〜帰家穏坐〜


・「帰家穏坐」(碧巌録十四本則評唱)…ほんらい居るべき場所にもどって、ゆるぎなく坐る。「本来の家郷」(本地)に安住する。

~入矢義高監修・古賀英彦遍著「禅語辞典」より~


 「碧巖録」という中国の宋の時代に編まれた有名な公案集(いわゆる禅問答集)に収録される禅語ですが、大変幅広い解釈がなされている禅語でもあります。


 字句を直訳的に読みますと、「家に帰って穏やかにすわる」という何の変哲もない家中の風景描写でしかありませんが、「家」を「本来の自己の居場所」と解釈し、「外界へ外界へと目を向けるのもいいが、内なる自己に立ち帰り、心静かに坐って本来の自分を見つめなおしなさい。」といった解釈もなされておりますし


 さらに「家」を「仏教者の本来の居場所」つまり「悟りの境地」に重ね合わせて、「外の世界での求法迷走は一旦留めおいて、本来の家郷へ帰り穏やかに修しなさい。悟りは内なる自分より起こるもの。それが本来的求法であろう。」といった解釈


 また、「長い歳月をかけた諸国行脚の厳しい修行の旅を終え、久方ぶりに家郷に戻ったところ、もとよりそこに真実の悟りの世界があったことに改めて気づかされた。」といった「灯台もと暗し」的な解釈もなされております。


 さて、ステイホーム下における現在の我々に向けた解釈としましては、外出をなるだけ自粛して、「家」に「帰」って、こころ「穏」やかに「坐」る。それってzen caféオンライン坐禅会では?!笑





4、ほっこりステイホーム☆で心が耕せたら

「リアプレイザル」で心の筋トレを


 自分が大勢の前でスピーチをする場面を想像してみましょう。


【中略】


 アドレナリンのせいで心臓は高鳴り、緊張で手が震えだすかもしれません。こんな状況でもっとも応急処置の効果が高いのが「リアプレイザル」です。名前は難しそうですがやることは簡単。スピーチの直前にストレス反応が起き始めたら、「楽しくなってきたぞ!」や「興奮してきたぞ!」と自分に言い聞かせるだけです。


【中略】

 

 たとえば、いきなり道端で知らない人に怒鳴られたとしましょう。普通なら「なんだこいつ!」と頭に血がのぼる場面ですが、一歩引いて「何か悪いことがあったのかもしれない」などと考え直してみるのも「リアプレイザル」の一種です。


【中略】

 

 さらにリアプレイザルは、使えば使うほどあなたをストレスに強くする性質を持っています。被験者の脳をfMRIで調べたある実験では、嫌な体験をポジティブに解釈しなおした直後から扁桃体の活動が低下し、「リアプレイザル」が上手くなった被験者ほどネガティブな体験に脳がパニックを起こさなくなりました。つまり「リアプレイザル」は感情の筋トレとしても使えるわけです。

~鈴木祐著「最高の体調」より~


 メンタリストDaiGoさんが「僕が日本で一番尊敬する人の本です」と公言されて憚らない鈴木祐さんの著書「最高の体調」よりご紹介です。


 そもそも、人体の反応として「緊張」と「興奮」の感覚は変わらないそうです。例えば大勢の前でスピーチする時(緊張)も、会社で昇進が決まった時(興奮)も、どちらも人間の体は同じように心臓がドキドキ脈打ち、同じようにコルチゾールという物質が脳内に分泌されるそうです。これを「緊張」と認識するか、「興奮」と認識するかは、その時その時の自分の脳の判断にゆだねられるそうです。


 「リアプレイザル」とは、こうした脳の性質を活用し、自分に起きたネガティブなストレス反応を「楽しくなってきた!」とポジティブ解釈することで、ストレス反応を「興奮」として変換し、脳にポジティブ認識させるという手法ということです。そして本書によれば、2~6週間ほど小さな「リアプレイザル」を積み重ねれば、確実に脳がストレスに強くなっていくそうです。すごいですね!


 最近の世間のイライラピリピリ風潮にお悩みの方、ぜひお試しください☆どうか少しでもあなたの心が軽やかに毎日を過ごせますように♪





5、山崎まさよし的「ステイホーム☆」その②


空の青が水面に映る パノラマが果てしなく続く

いつかのときめきを取り戻すように

今はあの日壊したものを直そう

ひとつひとつ欠片を繋ぎとめて

一度心 離れても ここに戻ってこれるよう

今は窓の外を眺めていよう

黄昏にただ身を預けていよう

いつか心 迷っても ここの灯り探せばいい

~山崎まさよし【アイムホーム】より~


 最後は山崎まさよしさんからもう一曲、「アイムホーム」という曲の一節をご紹介して、第30回 zencafé 喫茶夜咄を閉じたいと思います。禅語「帰家穏坐」に通ずるものも感じます。ほんと味わい深い歌詞です。


 さて、イライラもピリピリもない、あの頃のふつうの日常がまた戻ってきますように。その間に壊れてしまったもの、傷ついてしまったものがもしあったとしても、状況が落ち着いたら、ひとつひとつ欠片を繋ぎ止めて、順次直していけるはずです。何より私たちひとりひとりが、それぞれの立場で、穏やかに自粛生活を心がけられたならば、「あの頃のふつう」が戻ってくるのは、そう遠くない来来であると固く信ずるものであります。 合掌


文責:Tokushin

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