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第48回 zen café 坐禅会(オンライン配信)




【オンライン坐禅会(第48回定例坐禅会) & オンライン茶話会】←坐禅会と茶話会の同日開催です☆

10/16(土)20:00〜21:3Cのライブ配信にて。


▼zen caféのインスタグラム

https://www.instagram.com/zencafe_shinshu

▼シンゲンさんのYouTubeチャンネル





2021年10月16日 オンライン配信 定例坐禅会 担当:zen café 茶頭 Tokushin



第48回 zen café 喫茶夜咄


 「丸4年な zen café」




1、ネコになりたいよ



しゃべって怒ってむなしくなって

無口になったりまたしゃべりだす

僕はどうせならネコになりたいよ

くだらないことから逃げて寝ていたい

素晴らしきこの世界



~真心ブラザーズ【素晴らしきこの世界】より~



 さて、本日は、真心ブラザーズさんの1993年10月発売の9thシングル「自転車に乗って」にカップリング曲として収録されておりました「素晴らしきこの世界」という曲の一節です。「え?!Tokushin和尚はそんなところからこの曲を掘り起こしてきたの?ディープすぎる!」なんて声が聞こえそうですが、いえいえ。とんでもない。笑 私がこの曲を知ったのは、2000年発売の真心ブラザーズさんのライブアルバム「PEACE AND LOUD」を購入したためです😃

 

 このアルバムは、バンドマンをやっていたTokushin和尚の友人が、当時カラオケで歌っていた真心ブラザーズの「拝啓、ジョンレノン」という曲がとても気に入って欲しくなったのと、同じ頃にジュディマリのYUKIさんが結婚したお相手が真心ブラザーズのYO-KINGさんだったので、それも気になって購入した覚えがあります笑


 どうでしょう?「しゃべって怒ってむなしくなって 無口になったりまたしゃべりだす」なんて歌詞は、身に覚えがあって、ドキっとした方も多いのではないでしょうか?笑


 私も含め、人間ってほんと勝手ですよね。「一人の時間が欲しい!」って誰しも思います。でもその一方で「ずっと一人はさびしい!」とも思います。コロナ禍の「ステイホーム」で人と会う機会が極端に制限されたとき、びっくりするくらい「人に会いたい。他愛ない話をのんびりしたい。」って気持ちになりました。今回紹介しております「素晴らしきこの世界」では、この歌詞に続けて「ネコになりたいよ」とつづってます。Tokushin和尚は犬派なので、自分なら犬になりたいなー。なんて思いますが笑、そうではなくて、ここではネコ好きの願望と言うよりも、ネコが通常1日に16時間程度睡眠をとることになぞらえて、1日の大半を何も考えずに寝て過ごしたい。そうすれば、悩みなどに振り回される時間も減るだろうにな。という思いがくみとれます。


 何も考えずに過ごす時間の大切さ。それは忙しすぎる毎日を送る現代人とっては、とても価値の高い大切な大切なものです。


 



 

2、万物無常



 人の脳はまことに不思議な性質をもつ。自身は無常でありかつ有限なのに、なぜか不変や無限を考える。脳が考える不変の中で最も強固なものは自我である。三十年前の私と今の私は全く異なる。生物は代謝をして刻々と物質を入れ替えており、十年もたてば全く別の物質に置き換わってしまうから、分子や原子のレベルで言えば、三十年前の私は今の私とは全くの別物である。しかるに、自我は私は常にわたしであると主張する。


 自我が脳の中の不動点であるからこそ、それとの比較で、人は無常を感じるのだと私は思う。ネコは人間ほど強固な自我を有していない。すなわち不変の不動点が脳の中にない。ネコの脳は無常そのものであって不変を生み出すことができない。無常は無常を感じることはできないのである。ぐるぐる回る地球の上に乗っているだけでは、地球が回っていることがわからないようなものである。


~かまくら春秋社発行、伊藤玄二郎編 池田清彦他著【道元を語る】より~



 かまくら春秋社より刊行されております「道元を語る」より、池田清彦教授の執筆章の一部を抜粋し、紹介いたします。本書は16名の様々な分野の第一人者の方に、道元禅師についての寄稿を依頼し、それらをとりまとめた本となっておりますが、その中に生物学者、評論家で、早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授でいらっしゃいます池田清彦教授の寄稿「万物無常」がございます。近年ですと「ホンマでっか!?TV」のコメンテーターとして、一番左側に座ってる人。と言った方がわかりやすいのかもしれません😃


 「無常」とは、平家物語の冒頭のあのフレーズでよく知られる言葉ですが、現代人がイメージする「はかなさ」だけを指した言葉では無く、元来は「常では無いこと」を表す言葉ですので、今目の前にあるままの姿形で永久に留まり続けるものはこの世に一つも無く、全てのものがうつろっていくものだ。という意味になります。


 生物学者である池田教授は、ここでネコの例えを出しながら、「無常」について述べていらっしゃいます。

すこし難しい表現もありますが、Tokushin和尚の理解に基づき、以下の如くに要約致しました。


①生き物は常に代謝をしているから、例えば10年も経てば、細胞は入れ替わって、身体は10年前とは全く別の物質に置き換わっている。つまりある意味で別人になっていて、これは「無常」そのものである。しかし、私たちは10年前と今の自分のどちらも「自分である」という意識・自我が強くある。この自我が強くあるからこそ、自分が無くなってしまわないように「無常」を不安視してしまうのではないか。


②ネコは、人間ほどには自分が自分であるという自我が強くない。つまり人間と比べれば、ネコの脳は常日頃から「無常」の状態を無意識に是とし、その状態が普通であるため、「無常」を不安視していないのだろう。


 Tokushin和尚はこのような理解を致しました。そしてここで大事なのは、「無常」単体で「無常」について考えることでは無く(アタマがこんがらがってきます笑)、強い自我があると、「無常」を怖く感じてしまい、「無常」を認める気持ちになれない。なりにくくなってしまう。ということではないでしょうか。


 自我などのこだわりをできるだけ無くし、自分をからっぽにして、「無常」=「移り変わること」を受け入れて生きていきなさい。そうすると、悩みが無くなります。心が穏やかになります。と説くのが仏教の立場です。


 ただそもそもネコちゃんは1日の大半を寝て過ごしていますから、仮にネコちゃんにまあまあの自我があったとしても、ほとんどの時間を寝てるので、自我がでる場面が圧倒的に少ない。とも言えるかもしれませんね😋笑


 冗談はさておき、真心ブラザーズさんが綴られた「ネコになりたい。くだらないことから逃げて寝ていたい。」という歌詞と、池田清彦教授が述べられた「ネコは人間ほどに自我がないから「無常」を怖れることなく無意識に受け入れている状態」、そして仏教の「自我を無くして、無常を受け入れることが一つの理想の境地」という教え、これらは、三者三様の立場・分野からアプローチをしているのに、似たような所に着地しているのが興味深く感じます😃






3、天地を包む、大きな心でありたい



大いなるかな心(しん)や。

天の高きも極むべからず。

しかるに心(しん)は天の上に出(い)ず


栄西/日本臨濟宗の開祖


 「人の心はなんと大きなものか。天の高さは果てしないが、心はその天を超えて、あらゆるものを包む宇宙の様相なのだ」と栄西は説きました。

 心は人間をはじめ、万物が本来そなえている清浄にして無垢なもの。私たちの心は自分のものでありながら、制御するのが難しく、時には自分自身をも苦しめ、翻弄します。心がゆったりとしていれば、ささいな感情にも振り回されずに、自由に伸びやかに生きていけます。


~武山廣道監修 臼井治画【くり返し読みたい 高僧の名言】より~

 


 臨濟宗白林寺住職武山廣道老師監修の「くり返し読みたい 高僧の名言」より、日本臨濟宗の開祖、栄西禅師の言葉「大いなるかな心や。天の高きも極べからず。しかるに心は天の上に出ず」の解説を紹介いたします。


 解説が付されていることもあり、特に理解に困る難しい表現などがあるわけではありません。しかし、二度三度くり返し読む内に、味わいが出てくる言葉です。栄西禅師の生きた時代は鎌倉時代ですから、当然科学的な知識がままならなかった時代。その時代においての「天の高さ」は、無限に続くかの如き果てしもない距離という認識であったわけですが、その果てしない天の高さよりも、人の心の方がもっと広くて大きい。つまりこの世で一番広いものは人の心なのだ。と説かれたわけです。いかがでしょうか?およそ800年前に生きた方が「この世で一番広いものは心だ」と説いていらっしゃるのです。元来心は広いもの。その広き心を広いままに。そうすれば、自分も周りもみんな幸せ。その通り。誰もが納得。、、、なんですが、それが簡単なようで難しいことなんですよね笑 現代日本はおかげさまで平和になり、命のやりとりを日常的にしなくてもよくなりましたが、その一方で鎌倉時代よりも忙しい時代かもしれません。「忙しい」という字は心を亡くすと書きます。忙しさにかまけて、心のケアを怠ると、広くて余裕のあったはずの心の面積が、どんどん無くなって狭く狭くなっていっているのかもしれませんね(>o<)


 




4、素晴らしきこの世界



まん丸地球をこの目でみたい

一度でいいから本当に見たい

宇宙の果てってどんなところ

時間と距離を超えた世界

素晴らしきこの世界



~真心ブラザーズ【素晴らしきこの世界】より~




 

 最後も真心ブラザーズさんの「素晴らしきこの世界」より一節を紹介致します。栄西禅師が天の高さより果てしない広さと説いた、人間のこころですが、ここで真心ブラザーズさんは「宇宙の果て」「時間と距離を超えた世界」そして「素晴らしきこの世界」と締めくくります。これってもちろん物理的な宇宙空間を指していらっしゃると思うのですが、その一方で、栄西禅師が宇宙を知っていたら、「宇宙よりも広いのが人間のこころだ。」なーんておっしゃったような気がします。その上で宇宙は空気も無い真空の空間です。空っぽの空間です。それを栄西禅師が知ったならば、「こころは、宇宙より広く、そして宇宙の如くに空っぽに」なーんておっしゃったかもしれません。


 今日の坐禅はいかがでしたでしょうか?1秒でも2秒でも空っぽになれて、スッキリして頂けましたら幸いです😃





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文責:Tokushin




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